夫と2人暮らしです。
「転勤の時は、どこでも一緒に来てほしい」が、結婚した時の夫の希望です。
子どももいないし、単身赴任をする理由もないしで、2人でいろいろな土地で暮らしてきました。
夫の会社は、転勤の辞令がいつ出るか全く予想がつきません。
いつでも待機状態といった感覚で、自然に「夫は仕事、私は家事」の生活スタイルになりました。
新しい土地で、条件の合う仕事がみつかった時だけ行っていました。
夫は、基本的に家事はしない人です。
苦手なんだそうです。
実家暮らしからそのまま結婚し、結婚後は私が家事をしていたので、夫が家事をする必要性もありませんでした。
料理、洗濯、掃除どころか、電子レンジを使うことすらなかったと思います。
そんな夫が、家事から逃げられない状態になりました。
私が実家の母の遠距離介護で、毎月10日~14日ほど家を空けるようになったからです。
当初、母の足の手術で私がひと月実家に帰ることになり、まず心配したのが「夫、どうしよう……」でした。
「大人なんだから大丈夫」と言ってしまうのは簡単ですが、まともに家事経験のない夫が、仕事から帰って家事をする姿が想像できませんでした。
自分の母のことで負担をかける申し訳なさもありました。
「家の中のことは私のテリトリー」と、夫に何にも伝えてこなかった私は大いに反省し、家電の操作方法や備品の置き場所をノートに書き留めたりして、夫に渡しました。
あれから2年が経ち、電子レンジひとつ触らなかった夫も変わりました。
靴下が小さく縮んだまま干されて「ナニコレ」状態になっていたり、
台所が油はねでベトベトしていたり、
クローゼットの引き出しの中がカオスになっていたりと、
ツッコミどころは多々あります。
でも、実家から帰る度に努力の跡があちこちに感じられて「夫、頑張ったのね」と労をねぎらう気持ちになります。
元々食べることが大好きな夫は、ちゃんと料理もしているようです。
すぐそばにコンビニもあって、外食にも困らない場所なので、食事のことはどうにかなるだろうと思っていました。
想像していたよりも料理はしていたらしく、この間は「お肉を焼いて、しばらくホイルで包んで蒸したら、すごく柔らかくて美味しかった」と教えてくれました。
定年になったら、魚を自分でさばけるように料理教室に行きたいそうです。
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私がこうして頻繁に母の遠距離介護に行けるのも、夫が生活を支えてくれているから。
毎回、文句も言わず送り出してくれることに本当に感謝しています。
時々、この遠距離介護生活がいつまで続くのかと思うことがあります。
まだ先は長いのだろうかと。
夫と私の年齢を考えた時、順調に健康で長生きしたとして30年。
あくまで順調に計算してのことなので、いつまで一緒に居られるかを考えると、ふと寂しい気持ちになります。
「これからの30年なんて、あっという間じゃないか」と思います。
母のことは、もちろん大切です。
でも、私にとって一番近くて、大切にしたい家族は夫です。
母といる時は、母との残された時間の短さを想いますが、夫のことを考えると、できるだけ1人にしたくない、一緒に過ごしたいと思ってしまいます。
『身体が2つあればいいのに』と思います。
こればかりは何をどう考えても仕方がないです。
万事いい方向に進んでほしいと願うばかりです。