シン・母 遠距離介護日記+

遠方にいる認知症の母の備忘録を中心に、日常のあれやこれやを書いています。

遠距離介護のメリットとデメリット 独居の親が認知症

2年前から、一人暮らしの母に認知症の症状が出始めました。

私は夫と2人、県外在住です。

現在は月に一度(10日~2週間程度)帰省して、母のフォローをする遠距離介護をしています。

現在の母の状況

■現時点では要介護2■

・足が悪く歩行時にふらつきあり、杖が必要 
・記憶、認識、判断に障害あり
・料理、洗濯、掃除など家事はできない
昼夜逆転、徘徊などの問題行動はなし

 

母は足が悪いので、身体的にもできることが限られます。

認知症が始まってからは、記憶や認識、判断がおぼつかない状態です。

季節や体調の具合なのか、日によって状態は変わりますし、時間帯によっても調子のよい時悪い時があります。

この先どのように進んでいくのか、このまま遠距離介護を続けながら、母が1人で在宅でやっていけるのか、それはそれは不安です。

いまこの段階で感じている、遠距離介護のメリット・デメリットについて考えてみます。

 

遠距離介護のメリット

 

【遠距離介護のメリット】
・過干渉になりすぎない (自分でできることを奪わないですむ) 
・介護サービスを受けやすい(プロの力を借りることができる)
・介護者が自分の時間を持てる

■過干渉になり過ぎない

私は心配性なので、一緒にいると、つい母に対して口うるさくフォローしてしまいます。

「母には無理だろう」「その行動は危ないから」という思い込みで、母の気持ちを先読みして、私が代わりに動いてしまうこともあります。

母も記憶がおぼつかなくて不安なので、そばにいる私に行動のすべてを頼ろうとし、自分から動こうとしません。

 

県外の自宅から見守りカメラで母の様子をみていると、長い時間、廊下の窓のそばに立って、外の様子を眺めています。

寝室に行ってベットの上の布団を整えたり、玄関に郵便物をとりに行ったりしています。

私と一緒の時には、しない行動です。

時には、私からみて意味のない行動に思えることもありますが、母なりの目的や意思があって行動しているのがわかります。

母が自分で考えて自由に行動することも、認知症の進行を遅らせて自立した生活を続けるために、必要なことではないかと思います。

 

■介護サービスが受けやすい

 

母は直近の申請で【要介護2】の認定を受けています。

独居世帯ということで、介護サービスが受けやすいという面があります。

 

現在は、定期巡回・随時対応型訪問介護サービスをお願いしています。

お昼と夕方の2回(15分程度)の定期訪問があり、お弁当も持ってきてもらいます。

携帯電話の充電チェックや、簡単な床掃除、洗濯など、日常生活の中の「ちょっとした困りごと」をフォローしてもらえます。

何よりこのサービスが安心なのは、24時間、電話1本で緊急時にかけつけてもらえること。

遠距離介護で一番心配なのは、何かあった時にすぐに行けないことです。

実際に夜遅くになってから、見守りカメラで母の様子がおかしいことに気がつき、焦って担当の方に連絡しました。

すぐに母のところに駆けつけてくれました。

翌日の早朝も来てもらい、本当にありがたかったです。

 

もし私が在宅で母を介護していたら、きっとギリギリになるまで、人の手を借りることができなかったかもしれません。

「家族がいるのだから、家族でみるのが一番いい」と思っていたと思います。

足が悪くなって認知症の症状も進み、思ったよりも早い段階で、母を一人にしておけなくなりました。

待ったなしで、バタバタと介護認定を受けることになりましたが、プロの方に相談することで、どうにか遠距離介護を続けられています。

 

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■介護者が自分の時間を持てる

 

認知症の母と向き合っていると、どうしても煮詰まった状態になる時があります。

母は私にベッタリで、家の中にいても、私の姿が見えないと不安になるようです。

家の中を探して歩き、そばにいないと寂しがります。

どんどん変わっていく母をみて私も不安になり、動揺し、イライラし、それが母にも影響します。

 

自分の自宅に帰り、母のそばから離れることで、一旦気持ちをリセットすることができます。

時間にも余裕ができるので、私自身もリフレッシュできます。

自分や母をとりまくいろんな問題についても、冷静に考えることができます。

遠くにいること、母を一人にしていることの罪悪感が常にあるので、母に対してより強く愛情を感じたり、責任を感じたりします。

ビデオ通話だとより優しい気持ちで母に言葉をかけられるし、お互いに笑顔で過ごせます。

 

遠距離介護のデメリット

【遠距離介護のデメリット】
・安否が常に不安
・健康状態の小さな変化に気が付きにくい      
・すぐに行けない辛さがある
・栄養が偏りやすく、衛生面でも問題がでる
・刺激が少ないので、認知症が進みやすい
・不安にさせ、さみしい思いをさせている
・予定が立てにくい
・介護サービス、交通費等お金がかかる
・介護者の家族の理解が必要になる
 

思いつくデメリットをざっと挙げましたが、こちらは本当にきりがありません。。

 

■安否が常に不安

■健康状態の小さな変化に気が付きにくい

■すぐに行けない辛さがある

 

遠距離でなくとも、近距離にいても、同居であっても、24時間そばにいることは不可能ですし、危険なタイミングというのはどんな状況でもあると思います。

それでも、1日のほとんどを1人で過ごすことの安全面のリスクは大きいと思います。

見守りカメラの設置(現在はリビング、寝室、廊下、玄関の4台を設置しています)と、毎日数回のビデオ通話で、可能な限り安否確認しています。

ただ、カメラや電話を通すだけでは、やはりちょっとした体調の変化を見逃しやすいです。

熱があったり体調を崩して眠っていても、カメラからは普通に眠っているようにしか見えません。

姿が映っているからと、安心してばかりもいられないのです。

これからもっと認知症の症状が進んできた時の安否も心配です。

徘徊症状が出たときにそなえて、早めにGPS付きの靴のレンタルを取り入れることも検討しています。

 

■栄養が偏りやすく、衛生面でも問題がでる

 

入浴や着がえなど、衛生面のフォローをもっと頻繁にしてあげたいと思いますが、現状難しいです。

母は人に対して警戒心が強く、認知症からくる記憶障害も関係しているのか、毎日きてくれるヘルパーさんでも、すんなり着がえをさせてくれません。

 

食事の面でも、1人暮らしのリスクは大きいです。

お弁当になかなか手をつけず、たとえ食べてもかなりの量を残してしまいます。

その分お菓子をつまんだり、間食が多くなっているようです。

栄養の足りない部分は、かかりつけの先生にすすめてもらった高齢者向けの栄養ドリンクで対応しています。

これが同居や近距離介護だったら、作り立ての食事を食べさせてあげられます。

『かわいそうだな、申し訳ないな』と思います。

 

■刺激が少ないので、認知症が進みやすい

■不安にさせ、さみしい思いをさせている

 

1人で家にいる時、母はたいていリビングにいて、座ってテレビを観ています。

電話をすると、テレビもつけない静かな部屋で、特に何をするでもなく過ごしていることもあります。

新聞を読んだり、日記をつけたり、ゲームをすることも認知症の進行を防ぐためにいいと言われていますが、母1人で実践するには、母の認知症は進み過ぎてしまいました。

できるだけ電話をかけて会話をするようにしていますが、同居の家族がいて常に外部からの刺激があるのと、ずっと1人で過ごすのとでは、認知症の進み方にはかなりの差が出てくると思います。

『もし父が生きていて母と2人なら、認知症になることもなかったのでは?』と考えてしまいます。

「寂しい」「いつ来てくれるの?」と聞かれると、本当につらいです。

 

■予定が立てにくい

■介護サービス、交通費などお金がかかる

 

今は、母の受診予約や町内の当番に合わせて、帰省の予定を組んでいます。

なるべく効率良く予定を組もうとするのですが、私自身の予定も考えなければいけないので、毎回頭を悩ませます。

 

遠距離介護のお金の問題は大きいです。

「介護はお金がかかる」は本当です。

手厚いサービスを望めばそれだけ料金は高くなりますし、遠距離介護の毎月の交通費は、同居や近距離ならカットできるお金です。

いまは在宅ですが、この先施設を検討する時期がきた時には、今よりもっとお金との相談になってくると思います。

 

■介護者の家族の理解が必要になる

 

私は夫と2人暮らしですが、遠距離介護を始めてから、夫にもかなり負担が増えてしまいました。

もし私に子どもがいたら、そもそも遠距離介護はできなかったと思います。

母の様子がいつもと違ったりすれば、予定を変更して、急遽駆けつけることもあります。

生活全体が実家の母優先になってしまい、夫には申し訳ない気持ちがあります。

 

以前は派遣会社に登録して働きに行っていましたが、毎月不定期に2週間も休みをとれる仕事はありません。

せめて、月に2回、行き来できる距離ならと思いますが、こればかりはどうしようもありません。

(時間的には可能ですが、交通費のことを考えると月に1度が限界です)

 

遠距離介護のメリットとデメリット まとめ

遠距離介護のメリットとデメリットを考えてみました。

母本人だけのことを考えるなら、近くにいていつでもフォローできる状態がいいのは分かっています。

いろんな事情から、遠距離介護を選ぶしかない状況です。

デメリットだけを考えていると、気持ちが落ちてしまいます。

悲しいかな、母の認知症は、進んでいくことはあっても良くなることはないのです。

この先にどんな状況が待っているのかも分かりませんし、

今の私にできることを、日々やっていくしかありません。

私が心身共に健康であること、いつでも自由に動ける状態にしておくことが何より大切だと思っています。

私が元気じゃないと母のフォローもできないし、夫もかわいそうですしね。

この先、家族みんなができるだけ笑顔で過ごせるように、願うのみです。