シン・母 遠距離介護日記+

遠方にいる認知症の母の備忘録を中心に、日常のあれやこれやを書いています。

認知症母の日常にテレビは欠かせない

朝から、実家のテレビのリモコンが見当たらない。

いつものように母にビデオ電話をかけ、歯磨き、洗顔、栄養ジュース、服薬をすませ、「テレビはついてる?」と声をかけた。

母はその日によって、テレビを自分でつけたり、つけなかったりする。

リモコン操作も難なくこなすこともあれば、リモコンの存在自体認識できないこともある。

 

母は認知症になる前は、テレビが好きだった。

1人なので、テレビしか楽しみがなかったのかもしれない。

いまの母は「テレビがついていれば、なんとなく観る」という感じで、自分から何かが観たくて電源を入れるということもなくなった。

テレビに限らず、好きだった音楽も、ビデオ鑑賞も、ビーズ作成も、夢中になっていたことは、すべて忘れてしまったみたい。

娘の私のことすら怪しくなってしまうのだから、認知症は本当に切ない病気だ。

 

スポンサーリンク

 

リモコン、一体どこに消えてしまったのか。

さっきビデオ電話で、母にリビングと寝室の様子を映してもらったけれど、私の目からも黒いリモコンは確認できなかった。

怪しそうな場所がいろいろ思い浮かぶけど、フラフラ伝い歩きする母に歩き回ってもらうわけにもいかないし。

 

リモコンが勝手にどこかへ行くわけがないのだから、母が目につきにくい場所に片づけてしまったのだろう。

寝室に持っていってしまうことはあったけれど、ここまで見当たらないのは初めてのことだ。

 

テレビがついてない部屋で、手持無沙汰の母はウロウロしている。

廊下に出てみたり、リビングの窓から外を眺めてみたり。

時間を持て余しているのだろう、かわいそうに。

そんな母の様子が気になってしまい、私も朝から見守りカメラを5分ごとに開き、思考がそこから離れなくなってしまっている。

 

実家にスマートリモコンがあって、以前はエアコンやテレビもつなげていて、私がスイッチを入切りすることができた。

エアコンを遠隔操作付きの機種に買い替えてからは必要がなくなり、Wi-Fiルーターを新しくした後、テレビも接続しないまま放置していた。

こんなことになるなら、前回帰省した時に、テレビだけでもつなげておくんだった。

激しく後悔。

 

こんなふうに、何かイレギュラーなことが起こると、私もそのことで頭がいっぱいになってしまう。

リモコンがなくてテレビがつけられないこと自体は、そう大きな問題ではない。

家のどこかにあるのだから、そのうち見つかるだろう。

でも、テレビ中心で過ごしていた母の生活が変わってしまうことは、大きな問題だ。

母には、テレビに変わるようなものがないのだから。

他に時間をつぶせるような何かを、探すことができないのだから。

ドラマのストーリー等は理解できなくなってしまったけれど、大谷君や鈴木亮平さんなどが出ると「お母さん、好きなのよ」と言ったりもする。

(私だって、好きだ)

ディーン・フジオカさんにも「この人誰だったっけ?」と反応していたな。

一緒にニュースを見ていて、意見を言うこともあるし。

テレビは母の脳トレにとって、非常に欠かせないものなのだ。

 

朝早く家を出たらしい兄に、仕事から帰ったらリモコンを探してもらうようメールを入れておいた。

帰りは遅いだろうから、母にはマメに電話を入れることにしようか……

 

次の帰省時には、必ずスマートリモコンを設定しよう。

テレビのリモコンにも、なくさないような策を考えよう。

紛失防止タグとかも調べてみよう。

 

【追記】

リモコン見つかりました。

兄がやらかしてました。

前日夜遅く帰ってきて、リビングでテレビを観ながら一杯飲み、なぜかリモコンを持って自室に行ってしまったらしい。

携帯と間違えたのかなー、だと。

すっかり母の仕業だと思い込んでいた。

疑ってごめんよ。

これで母がテレビを観ることができるし、ウロウロしてしまうこともないだろう。

安堵。