シン・母 遠距離介護日記+

遠方にいる認知症の母の備忘録を中心に、日常のあれやこれやを書いています。

認知症母の電話パターンと「お気持ちわかります」

数日前のこと。

午後3時をまわった頃、母から電話がかかってきた。

電話に出ると「お母さん、ちょっとわからなくなって……」と焦った声を出している。

こういうことは時々ある。

おそらくリビングでテレビを観ているうちにウトウトし、ハッと目が覚めた時に自分の置かれた状況がわからなくなったと推測する。

いまは何時でどういう状況なのか、大事なことを忘れていたりしないのか、母の中で軽くパニックになり、とりあえず私に電話をかけてきたのだろう。

認知症の母でも電話をかけやすいように、私の写真のアイコンにタッチするだけで自動的に電話がかかるように設定してある。

 

うたた寝してたんじゃない?大丈夫だよ。時計みて。何時になってる?

時計……3時20分になってる

そう、お昼の3時過ぎ。窓の外みて。明るいでしょ?

お母さん、どうなったの?どうしたらいいの?

ちょっとうたた寝して、寝ぼけただけだから大丈夫。出かける用事もないし、家でゆっくりしていれば大丈夫だから。心配することないから

そこにいれば大丈夫だから、忘れている用事はないから、と繰り返し伝えてなだめると、母も落ち着いてきて電話を切ってくれた。

 

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こんな風に、認知症になってからの母の電話には、3つのパターンがある。

うたた寝から目が覚めて、状況がわからなくなった時

②何か気に障ったり、不穏になったりして、気持ちを聞いてほしい時

③私の声をききたい時(寂しい時、甘えたい時)

①のパターンの時は、先程のように母本人に状況を把握させて、「大丈夫、問題ない」ということを伝えるようにしているが、②と③のパターンの時によく使っている言葉がある。

「お気持ちわかります」

先日テレビにコールセンターの全国大会で優勝した方が出ていて、その方がクレーム対応の時に使っている言葉らしい。

長々と訴えてくる人に共感しつつ、この言葉をはさむことで主導権を相手から自分に移すことができるらしい。

それから、母との電話にこの言葉を使わせてもらっている。

特に用事でもなく、聞きたいことがあるわけでもなく電話をかけてくる時、ちょっと不穏だったり愚痴気味だったり、小さい子どものように甘えた感じで電話をかけてくる母をなだめるのにとても良い。

うんうん、お母さんの気持ちわかっているよー

この言葉をいうと、なんとなく母が嬉しそうな気配が伝わってくるし、納得してくれるので電話も切りやすい。

私から母への電話は毎日朝、昼、夕方の3回は必ずかけているので、正直なところ、母からの電話はできるだけ長引かせたくない気持ちがある。

以前は愚痴めいた電話にイライラし、イヤ~な雰囲気で電話を切ってしまうこともあったし、母からの着信があると「今度はなんだ??」と警戒してしまう自分がいた。

最近、母のパターンとこの言葉を知ったおかげで、こちらが上手く対応すれば、双方が機嫌よく会話を終えられることがわかってきた。

気持ちをまともに受け止めるだけじゃ疲れてしまうので、こういったテクニックを使うことで、相手の機嫌をそこねることなく受け流すって大事だよね。

大変なのはまだこれからなんだと思うけど、母の変化に合わせて、私も進化していかなきゃいけないなと感じる。