シン・母 遠距離介護日記+

遠方にいる認知症の母の備忘録を中心に、日常のあれやこれやを書いています。

帰省中11月18日の記録 母の好むテレビ番組

帰省中。

母とリビングでテレビを観ている。

 

認知症になる前、母は映画やドラマが大好きだった。

特にハリウッド映画にハマっていて、レンタルビデオ屋に通い、その日に観た映画名、キャストなどを細かくノートに記録。

目のパッチリした濃ゆい顔立ちが好きらしく、トム・クルーズジョージ・クルーニーは特別お気に入りだった。

私が実家暮らしだった頃は、金曜の晩になると一緒にビデオ屋に行き、お互い好きなものをレンタル、帰りにミスタードーナツに寄ってお茶をする、というのがお決まりのパターン。

母が颯爽と運転していたし、きびきび動いていた姿が、今となっては懐かしい。

 

今の母は、ストーリーを追えなくなったのと、登場人物の関係性が把握できないらしく、以前好きだった恋愛モノは複雑すぎるみたいだ。

刑事モノや医療ドラマのように、単発でストーリー展開されるものなら、まだ楽しめるみたい。

母が好きだった俳優さんが出てくると「この人知ってる」と反応するので、「お母さん、好きだって言ってたよ」と教えてあげる。

すると母が「そうだと思う」とすごく満足気な表情をするのが、かわいらしい。

 

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昔から、朝7時NHKニュース~朝ドラ~あさイチがお決まりだったので、毎日それだけは観られるように視聴予約している。

1人の時は適当にチャンネルを回しているみたいだけど、私がいる時は、母の反応をみながら興味をひきそうな番組を選んで入れる。

山、海などの自然モノ、動物モノ、ヒューマンドキュメンタリーなどは、まず間違いない。

「美しい」と感じる気持ちは最後まで残る、となにかで読んだ気がするけれど、それに通じるものがあるというか、シンプルに感情に訴えてくるからだと思う。

 

地域紹介や旅番組は、タレントさんがワチャワチャ出てくるやつじゃなく、「ブラタモリ」のように落ち着いた解説付きで、じっくりみせてくれるものを好む。

テロップの漢字もスラスラ読むし、テレビを観ながら独り言をつぶやいたり、私に話しかけたりする母はいたって普通で、その姿だけをみた人は、母が認知症だとは思わないかもしれない。

 

母がテレビに見入っている間は、こう言ってはなんだが、気が楽だ。

母が興味を持てない(らしい)番組が入っている時、あからさまにつまらなそうだし、そのうちウトウトと眠そうな様子をみせる。

暇を持て余すのか、ものすごい「かまってちゃん」になり、「お母さんは、次どうしたらいいの?」と絡みだす。

こちらにパワーがなかったり、忙しかったりして、素っ気ない返事をしようものなら「冷たい」と拗ねてしまう。

面倒くさいが「自分の機嫌は、自分でとってよ」と言ったところで、認知症の母には伝わらない。

何かしらの方法で、私が母の機嫌をとってあげるしかない。

 

母の脳の中にブラックホールができて、記憶が闇の中に吸いこまれている、というのが私のイメージだ。

その穴は、少しづつ大きくなっている。

人間の脳が、こんなにもデリケートで壊れやすいものだとは思わなかった。

母が認知症にならなかったら、私は「脳」ついて深く考えることはなかったと思う。

 

さっきから母がうたた寝をしていたけれど、先に寝ると言って寝室に行った。

いつもなら私が寝るまで待っているのに、今日は余程眠かったらしい。

こんな風に、母が眠った後にのんびりパソコンに向かっているのはめずらしい。

今日もこうして、1日が過ぎていく。