シン・母 遠距離介護日記+

遠方にいる認知症の母の備忘録を中心に、日常のあれやこれやを書いています。

帰省中の記録 名前と住所は忘れないでほしい

帰省中。

ここ数日の冷え込みが激しい。

実家では、この半年間エアコンを稼働しっぱなしだ。

今年は11月になっても夏日があって、でも朝晩はそれなりに寒い、というおかしな気候になっていて、衣服の調節が難しかった。

この寒暖差に母が臨機応変に対応できるわけもなく、日中はリビング、夜は寝室を、常時23℃くらいで自動調整するようにタイマー設定している。

昨年の夏と冬にガクっと認知症の進行が進んだことを踏まえて、エアコンも遠隔操作のできるものに新調し、なるべく母を気温の変動から守ろうという策だ。

電気代が恐ろしいけれど、母の認知症が進むのはもっと恐ろしいので仕方がない。

 

母は半年に一度、大学病院で認知症の検査を受けている。

1人暮らしが長い母は老後のことをすごく心配していて、まだ傍目には認知症の兆しが見えていない頃から、自発的に検査を受けにいっていた。

家族のほうが診察を受けさせたくても本人が拒否する、という話をよく聞くから、そういう意味では楽だったかもしれない。

 

しっかりしていた頃は母が1人で病院に行っていたけれど、ここ3年位は私も付き添って、心理テストも同席している。

母はものすごく緊張しいで、テンパった感じが私にも伝染しそうなくらい、かしこまっている。

前回だったか、「なんでもいいので文を書いてください」というお題に、何を書くのだろうとみていたら、「ものすごく緊張しています」と書いていた。

母の緊張ぶりと真剣な表情に見事にマッチしていて、かわいそうながらも可笑しかった。

 

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テストの内容は毎回同じなので、母の認知症の進行具合がよくわかる。

今年の6月の検査では名前と住所は言えたものの、日にち、年齢、実家のある県が何地方になるのか、私は母からみてどんな関係なのか、などは言えなかった。

(年齢は60歳、私のことは「妹です」と答えていた)

前々回、昨年の12月の検査では正しく答えていたから、半年で進んだことになる。

30分間、母の回答の行方を固唾を飲んで見守るので、終わった後は、母本人はもちろん、私もぐったりしてしまう。

 

そして来月、半年ぶりの検査がある。

私からみて、記憶障害はやや進んでいる気がする。

食事をしたことを忘れるようになった。

「食べたよ」と言えば素直に聞くので困ってはいないけれど、心配だ。

数日前に「お名前は?」「住所は?」と聞いたら答えられなくて、さすがに焦った。

何かあった時のために、名前くらいは憶えていてほしい。

 

そこで、名前、住所、年齢、野菜の名前など、認知症テストに出てくるような質問を母とやりとりしている。

認知症の人にあれこれ質問をしたり脳トレを強いるのは良くない、と本で読んでから、母にそういったストレスをかけないように気をつけていたけれど、何もしない、というのも良くない気がしてきた。

自分に置き換えても、日常的に触れていない言葉だったりすると、すぐに思い出せなかったりする。

母なら、なおさらだろう。

 

反復の効果なのか、日に数回問いかけていたら、母もちゃんと答えるようになってきた。

 

野菜の名前は苦手なようだ。

調子のいい時は、だいこん、ほうれん草、にんじんの3つは答えるが、全く答えられない時のほうが多い。

正直なところ、野菜の名前が言えなくても一向にかまわないのだけれど、思い出そうとすることが脳への刺激になるのなら、続けてみようかな。

 

個人的には脳トレより大切なのは、しっかり歩くこと、しっかり食べること、会話すること、ごく基本的なことだと思う。

でも、それを保つためには心身ともに健康でいることが大切なわけで、言葉でいうほど簡単なことではない。

 

ブログを書いてる横で、母がブラタモリを観ながら、あれこれ私に話しかけている。

野菜の名前が言えなくても、食事をしたことを忘れてもかまわないから、こんな風に穏やかな時間が続いてくれたらと願う。