シン・母 遠距離介護日記+

遠方にいる認知症の母の備忘録を中心に、日常のあれやこれやを書いています。

認知症の母の電話には、時々大切な用件も含まれている

母の認知症が進むにつれ、その記憶力はますます怪しいものになっている。

時には5分前の会話や行動さえ忘れてしまうこともあるし、会話の内容も、半分夢?というか妄想的なものも混じっていたりする。

明らかにつじつまの合わないことを電話で訴えてきた時には「お母さん、今うたた寝してた?夢見てた~?」とか聞くことにしている。

母本人も自信がないらしく「そうかもしれない。お母さん、ちょっとおかしいの……」とか口ごもったりすることも多い。

そんな状態が平常になってくると、こちらもそれに慣れつつあるというか、母が何かを言ってきても話半分に聞いてしまうことも多くなった。

でも、母が本当に大事なことを伝えてくる時もある、と認識させられた出来事があった。

 

ある日の午後、母のほうから電話がかかってきた。

うたた寝の後なんかに不穏になってかけてくるパターンが多いので、その日もそんな感じかと思って電話をとった。

すると、「なんか今電話があって、〇〇さんの息子さんだっていうんだけど、お母さん、足が悪いし、お義母さんも亡くなってるしって言ったんだけど」と言う。

母が私に繰り返し伝えるのはその言葉だけで、肝心の「先方が伝えてきた内容」については覚えていないようだ。

けれど、「〇〇さんの息子さん」というのは心当たりがある実在の人物だった。

私の祖母、母にとっては義理の母方の親戚で、ここ数年は交流が途絶えていたけれど、

おそらく、そこのおじさんが亡くなったのではないかと推測した。

そこで、ネットで地元新聞のお悔やみ欄を遡って検索してみるも、名前は出てこない。

間違いがあってはならないので、どうにかして息子さんに真偽を確認しなければならない。

ついでに、母に認知症が始まったこともお伝えせねばならないだろう。

おそらく、以前の母とは全く異なる対応だったはずで、(おそらく察してくれたとは思うけれども)戸惑ったはずだし、失礼があったかもしれない。

電話番号がわからなかったので、私の記憶の中のおじさんの名前とおおよその住所で検索してみる。

最近は個人情報の管理が厳しいし、ネットの電話帳に載っているだろうか……と思ったら、載っていた!

念のため、住所をグーグルマップで調べてみたら、以前訪ねたことがある〇〇さんの家と一致。

良かった!ビンゴ!

息子さんとは数十年会っていないから、電話をかけるのにも妙に緊張してしまう。

 

私の携帯から2日続けて電話をかけたものの、つながらず。

3日め、携帯に「非通知」で電話があり、ピンときて出てみたら息子さんだった。

名乗ったら、「あ~、〇〇ちゃん?」とすぐに分かってくれてホッとした。

知らない携帯番号だったので最初は怪しい電話かと放置したけれど、何度も着信があったので気になってかけてきてくれたそう。

やはりおじさんが亡くなっていて、「一応お知らせしておこうと思って」ということだった。

 

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事情を説明してお詫びし、(母のことはやっぱり察してくれていた)聞かれるままにこちらの近況も少しお伝えして電話を切った。

後日、兄が香典とお供えを持って行ったのだけれど、母からの電話がなかったらそれっきりになっていただろうと思う。

兄と、母が忘れてしまう前にすぐに知らせてきたことに感心し、「お母さんの話、わけがわからないと思っても、実は大事なこと伝えてくる時があるから、ちゃんと話は聞かなきゃね」ということになった。

母は昔から、とても生真面目で責任感の強い人だったことも思い出した。

認知症になっても、そういう部分は残っているんだろうな。

とりあえず、今回のことは無事に解決したけれど、私や兄の気がつかないところでスルーしてしまっていることも多いのかもしれない。

考えだしたら心配になってキリがないのだけれど、認知症の母を1人で置いているのだから、そういったリスクは常にある。

町内のこととかもご迷惑をかけないように、根回しをちゃんとしておかなければいけないな……

電話とかも、すべて私のところに転送とかできるといいんだけど、何かしら方法があるのか調べてみようかな。

んー、考えだしたら不安でいっぱいになってきた。

とりあえず、コーヒー淹れて気持ちを切り替えます。