シン・母 遠距離介護日記+

遠方にいる認知症の母の備忘録を中心に、日常のあれやこれやを書いています。

認知症母の不思議な言動の理由を想像してみる

帰省中。

実家を空けるのは2週間くらいなので、パッと見る限り大きな変化はない。

2週間ぶんのホコリや汚れはそれなりに溜まっているから、実家に到着して最初にやることは掃除と洗濯だ。

掃除をしながら、母が「見当たらない」と電話で言っていた洗顔用のターバンをみつけたり、郵便物が思わぬところにはさみこんであったりするのを発見したりして、少しづつ家の中をリセットしていく。

着くなりバタバタする私の様子に母も落ち着かないのか「ちょっとゆっくり座ったら?」とか「そんなに汚れてた?」とか言うけれど、自分の手で綺麗にしないことには私もどうにも落ち着かない。

 

家の中を綺麗にしたら、次は母を綺麗に。

認知症の人あるあるで、母もすんなりとはお風呂に入ってくれない。

お約束のように「今日はやめておく」と抵抗するけれど、入った後は、「気持ちよかったー、ありがとうー」と機嫌良く感謝の意を述べるのもいつものことだ。

洗ってフワフワになった白い髪、艶々と赤く上気した頬でメイバランス(母の栄養ジュース)を飲む母の姿をみて、私の遠距離介護の大きな仕事の1つが無事に終わったことに安堵する。

 

母の寝室に入った時、いつもと机の上の様子が少し変わっていることに気がついた。

シップや絆創膏を入れたケースが壁際までずらしてあり、20センチ四方ほどのスペースが作られている。

その中央に、缶ジュースとミカンが置かれていた。

母は置きっぱなしのまま忘れていることが多いので、ジュースとミカンはリビングに戻しておいた。

その日の夜、寝室で布団を敷きながら(帰省中は、母のベットの下に私の布団を敷いて寝ている)なんとなく母に聞いてみた。

 

ここにあったジュースとミカン、リビングに持っていったよ

あー、それは、ほら、お飾りしてあったんだけど……

お飾り?

ほら、あそこから、ちょうどまっすぐのところに……

 

母が見上げて指で示す方向には、エアコンがあった。

頭の中が「?」でいっぱいになったが、どうやら、エアコンに向かって、何か物を置いておかなかればいけないと思い込んでいるらしい。

どうしてそういうことになったのか。

とりあえず、エアコンにはお飾りの必要はないことを説明したけれど、もしかしたらエアコンのパネルが開いた状態が、神棚のように見えたのだろうか。

私の説明にも今一つ納得していない様子なので、これからも「お飾り」して眠るのかもしれない。

あくまで私の想像で、もっと他に理由があるのかもしれないけれど。

 

ここ最近、午後になると、「○○さんのところに行く日だから」と言うのも増えてきた。

〇〇さんというのは、母のかかりつけの病院だ。

私が帰省中は2人で行き、お薬をもらってくる。

前日に行ったばかりなのに、そのことを忘れている母は「今日、行かなきゃいけないんじゃない?」と言って、いくら説明してもなかなか納得してくれない。

「3,000円払ってこなきゃ」とか「来なさいって電話もらった」とか言い出すと、こちらもイライラして声が強くなってしまう。

認知症の人特有の、夕暮れ症候群のひとつなのかな。

母は現金を持っていないし足も悪いので、実際に1人で出かけてしまうことは(今は)ない。

仮に出かけてしまったとしても、行った先が病院なら私に連絡が入るだろう。

 

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認知症の人が出ていったまま行方不明になってしまう案件が問題になっているけれど、「行かなきゃ」という思いに囚われている母をみているとすごく不安で、こちらもモヤモヤしてしまう。

 

リビングで母とテレビを観ていたら、認知症予防のサプリメントの宣伝番組が入った。

さかんに連呼されるサプリの名前に、覚えがあった。

先月の帰省の際、テーブルの上に母の書いたメモがあり、そこに書かれていた名前と電話番号を調べてみたらサプリメントだったというやつだ。

 

aoi50202204.hatenablog.com

 

てっきり営業電話がかかってきたのかと思っていたけれど、メモの出どころは宣伝番組だったのだ。

テレビからは「皆様、メモのご準備はよろしいでしょうか?」と女性が高い声を出している。

きっと母も、この言葉にうながされてメモしたんだろうな。

「最近忘れっぽくありませんか?」の言葉に反応したのかな。

素直にメモする母の姿を想像したら、なんか切ない。

母が実際に契約していないことはすでに確認済みだけれど、こうやって年寄りはだまされちゃうんだろうな……と思ってしまう。

サプリメント会社がそうだといっているわけではない)

1人で過ごすことの多い母を、この先もずっと無事に守れるだろうか。