シン・母 遠距離介護日記+

遠方にいる認知症の母の備忘録を中心に、日常のあれやこれやを書いています。

認知症母からの質問攻めに困惑。どう対応するのがベストなのか?

2週間の実家滞在から自宅に戻った日のこと。

いつものように「お母さん、独りでどうしよう?」とグズグズ言い、私の姿が見えなくなるまで窓から手を振る母に、後ろ髪を引かれながら駅に向かった。

数時間後、「家に着いたよ」の電話をした時には、すでに私の滞在がなかったことになっていて、「どこから帰ったの?」とケロッとした声を出していた。

 

今回、『しんどいなぁ』と感じたのは、母からの質問攻め。

同じことを何度も聞く、というのは認知症あるあるで、シャンプーのCMを観る度に毎回「ボタニカルってなに?」と言っていたけれど、そういう単純なのは別にいい。

予定を何度も聞かれるというのも、こちらもくり返し答えたらいいだけなので大丈夫。

 

困るのは、最初の質問に答えると、「〇〇ってどういうこと?」となり、また答えると「△△は?」「××は?」と、どんどん次の質問につながっていくやつだ。

しかも、単純に答えられない質問。

適当に切り上げないと、無限ループ地獄におちる。

 

例えば。

母は、毎日来てもらうヘルパーさんの顔を見れば『知っている人』と認識するようだけれど、目の前から居ない時には、その存在すら忘れている。

 

今日は、誰も来ないよね?

夕方、いつものヘルパーさんが来るよ

いつもの……って、お母さん会ったことないよね?(不審な表情)

もうずっと来てもらっていて、顔をみたら思い出すよ

いつも同じ人?1人?

お金とかはどうなっているの?お母さん、お財布持ってないのに

どこから来る人なの?どういう人なの?

 

こんな感じで延々と続いていく。

質問に答えるにも説明が必要だったりして、『ここで説明しても、どうせすぐに忘れちゃうし』と億劫になる。

キリがないので、「お母さん、その人の顔を見たら思い出すから。絶対に知ってる人だから」「大丈夫だから」で押し切るけれど、また次の日も同じような会話が繰り返される。

 

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「今日は誰も来ない?」と聞くのは、母にとって「誰かが来る=緊張する、面倒なこと」だからだ。

人見知りの母にとって、来客があることは落ち着かないことなのだろう。

母にとっては知らない(と思っている)人だから、不安や警戒心もあって、私にあれこれ聞くのかもしれない。

いっそ、ヘルパーさんに限っては、母に聞かれても「誰も(特別な人は)来ないよ」と答えたほうがいいのだろうか。

 

困った質問その2は、死んだ人達のことだ。

 

お父さんは、いつ頃亡くなったの?

もう30年も前だよ

そんなに経つの?どうして?

心臓の発作だよ。突然だったんだよ

お母さん、その時どうしてたの?おかしいよね、覚えていないって

 

これも、かなりの頻度で、繰り返される質問だ。

私が一つ答えると、また次の質問に続いていく。

 

父は母の目の前で倒れて、意識不明のまま亡くなっていて、母にとってすごく悲しい話なので、正直あまり突っ込んだ話をしたくない。

それでも毎回聞いてくるから、どうやって答えたらいいのか困惑してしまう。

日によって、質問の対象が、父から母親(私の祖母)になったりもする。

 

自分の夫が死んだ時の記憶がない、というのは、母にとってさぞかし不安なことだろう。

聞きたがるのは自然なことで、それを叱られるのは、母の立場になってみたら可哀そうなことだと理解はしている。

 

けれど、私のほうに余裕がない時は、母に質問を繰り返される度に、矢か何かで胸を突かれるようなチクチクした痛みすら感じてしまう。

 

こうして母から離れた場所で文章にしてみると、『質問くらい、付き合ってあげればいいじゃない』と思わないでもない。

けれど、実際に毎日いろんな質問を繰り返されると、なかなかにしんどい気持ちになる。

 

母は私を信頼しているのだろう。

私なら、母の知らないことをすべて知っていて、聞いたことはなんでも答えてくれて、自分の疑問や不安をすぐに解消してくれると思っているのだろう。

 

全部の質問に、真っ正直に答える必要はないと思う。

どう対応するのがベストなのだろう。

「もう30年も前のことだし、もう思い出さなくてもいいよ」とかで納得してくれないだろうか……

 

ネットに何かヒントがないか探していたら、こんなことが載っていた。

ご自分に置き換えて、少し想像してみてください。 何かとても心配なことがあって、いてもたってもいられない...そんな心境です。 ざわざわと胸に広がる不安。 どうしていいかわからず、誰かに確認せずにはいられないのではないでしょうか。
認知症の方の介護でストレスがたまるのは、往々にして介護する方の価値観で「その行為は間違っている」「やめてほしい」と考えるからだと、私は思います。問題があると考えるから、止めなくてはいけないと躍起になってしまうのです。きちんとしてもらいたい思いがあるから、そうではない現状がつらくなってしまうのです。
問題だと思う行為を制御するのではなく、自分自身の気持ちから切り離して考えてみましょう。ときには「まあいいか」と割り切って、それ以上は深く考えないようにしてみてください。おおざっぱな部分をあえてつくらないと、認知症の方の介護は続きません。

[集中連載「認知症2」]こんな時どうすれば?「同じ質問」「同じ買い物」を繰り返す方への対応方法~こんな時どうすれば?~|介護情報なら安心介護のススメ|セコム

 

具体的な解決方法がみつかったわけではないけれど、この記事を読んだら、少し気が楽になった。

母が感じている不安から、早く解放してあげることが大事なのかな。

母の気持ちも大切だし、自分の気持ちだって守りたい。

あまり、しんどくならないように気をつけよう。

「まぁ、いいか」精神は、大切だよね。

 

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