ついに、秋らしい秋がやってきた。
昨日、夕飯前に少し散歩しようと夫と外に出たら、薄手のシャツを羽織ったにもかかわらず肌寒くてびっくりした。
なんの心の準備もなかったのと、「ついに季節が変わったか!」という高揚感が合わさって、「寒い!寒い!」と意味なく声を上げてしまった。
すごい風にふかれた時とか、寒さを感じた時、つい笑ってしまうのは何なのか。
はしゃぎがちになる自分に気恥ずかしさを感じるからなのか、テンションを上げることで身体の熱を逃がすまいと、脳が反応しているのか。
まわりの人もまだ軽装で、すれ違った若い女の子達も「きゃー、寒い!」と高い声を上げていて、仲間意識が芽生える。
スポンサーリンク
毎年のように、思い出すことがある。
中学校からの帰り道、それまでとはまったく別物の、冷たい木枯らしのような風が吹いた日があった。
全開になったおでこが冷たく、セーラー服の襟を掻き合わせるようにして、下を向いて早足に帰った記憶がある。
衣替えしたばかりの時期で、寒さに震える自分の姿や、足もとのアスファルト、帰り道の通りの風景が、イメージになって思い浮かぶ。
その日が10月8日だったので、毎年この風が吹くと「そういえば、この時期だった」と、ひそかに自分の中で納得するのだ。
数日の誤差はあるものの、毎年10月の第一週目あたりに「その日」はやってくる。
緩んでいた身体が縮むような、忘れていた寒さを思い出す日だ。
今年は猛暑でつい数日前まで夏の気分だったけれど、やっぱりちゃんと「それ」はやってきた。
日本から四季がなくなるんじゃないかと思っていたけれど、今日の気持ちの良い秋晴れをみていると、ちゃんと季節は巡っているようだ。
今朝、洗濯が終わるのを待っていたら、テレビ通販で秋冬物の美脚パンツが取り上げられていて、うっかり購入しそうになってしまった。
季節の変わり目は、余計なモノを買ってしまいそうになる。
「去年何を着ていたか」をすっかり忘れているからだ。
パンツ1着9,000円なのに、2着で11,000円になるという謎の誘惑にのせられ、注文画面に氏名、住所、支払方法……と入力。
最後の「注文する」ボタンを押しかけて、我に返った。
クローゼットを開けて、積み上げてあった秋冬物から黒パンツを3着も発見。
履いてみたが、問題なし。
黒パンツの在庫がムダに増えなかったことに安堵して、ついでに秋冬物の在庫チェックをした。
こうやって並べてみることで「そうだった、そうだった」と記憶を蘇らせる。
よそ行き用の新しいシャツが欲しい気もするけれど、早まらないでじっくり探そう。
まだ季節は変わったばかりだし。
今日の母の記録
朝起きてまず、見守りカメラで母の姿を確認。
画面の中、すでに起きていて、ぽつんと1人テーブルに座ってテレビを観ている母の姿をみて、「早く電話せねば」と居ても立っても居られないような気持ちになる。
夫を見送り、急いでビデオ電話。
母は、ニコニコと元気ありで安心する。
「歯磨きした?」と言ったら、舌で歯をなぞるような仕草をして「歯磨きしたと思う」と言う。
してないかもしれないけど『まぁ、いいか』の気分になり、そのまま朝ごはん代わりの栄養ジュースとバナナで服薬。
バナナの先っぽのちょっと黒っぽい部分が嫌らしく、毎回、丁寧に取り除いて食べている。
昼過ぎにもビデオ通話。
カメラで見ると、テーブルの端にきっちり角を合わせて、郵便物とフリーペーパーが並べてある。
認知症になっても几帳面なのは変わらないらしく、そこは良かった。
来週末からは、また2週間ほど帰省の予定。
母は毎日のようにその日を待っていて、でもカレンダーが分かっていないので、「いつ?」と確認。
「今日じゃないのー?」というので、「まだ〇〇(夫の名前)の番だから」というと「じゃあ、仕方ないよね」「でもお母さん、お会いしたことないよね?」と言うのも毎回のことだ。
(そんなわけないが、遠くにいて滅多に会わないので、顔を忘れたみたい)
どうか、あと数日、何事もありませんように。