シン・母 遠距離介護日記+

遠方にいる認知症の母の備忘録を中心に、日常のあれやこれやを書いています。

母が認知症と診断される前 せん妄らしき症状あり メモより

遠距離介護が始まって2年になります。

最初に母の様子に違和感を感じたのは、母が足の手術をすることになり、ひと月ほど帰省した時でした。

当時の母の様子をメモしていた中から、抜粋しています。

 

2021年4月9日

無事に退院。

自宅に帰ってしばらく落ち着いていたのに、夕方になってリビングでソワソワし始める。

「これから片づけして、△△(母の実家の地名)に帰らなきゃいけない」

「〇〇(私の名)も一緒に帰れるといいのにね」と言う。

 

モヤモヤ、ザワザワした、嫌な気持ちがゆっくりわき起こってくる。

とっさに返事ができなかった。

完全に、自分の帰るべき場所が、嫁いでくる前の実家だと思っている様子。

これって、いわゆる認知症の帰宅願望?

 

「お母さんの家、ここでしょ?」

 

ようやく声をかけると、我にかえった様子。

 

「そうね、そうだよね」

 

なんだか怖い。

 

入院する前も、ふとした瞬間に私を叔母の名前で呼んだ。

私を母の妹のように話しかける時があった。

たいていリビングでうたた寝していた後とか、布団に入ってまどろみ始めた時だったから、寝ぼけているのだろうか?と思っていた。

 

まさかね。

大丈夫だよね。

 

スポンサーリンク

 

 

2021年4月10日

かかりつけの先生のところへ、ひと月ぶりの受診。

母があまりにも日中ぼんやりと眠そうなのと、時々私を叔母の名で呼ぶのが不安で、もしかしたら薬が効きすぎているのかと思い相談。

先生の了承を得て、ロフラゼプエチル錠※の服用を今日からストップ。

 

iPadのゲームに誘うと、集中して、最後までできた。

ここのところ眠そうにぼんやりとしていたが、意識がはっきりしている様子。

母の実家と現在の自宅を混同している発言もなし。

私を叔母の名前で呼んだりもなし。

 

入眠時間23時(入院前~退院直後は、20時頃)

 

2021年4月14日

18時頃、また叔母と私を混同。

私が夕飯の後片づけをし、母はリビングのテーブルに座りテレビを観ていた。

 

私に、叔母の名前で呼びかける。

違うよ、と答えても、私のことを認識できない様子。

今までなら、訂正すれば、すぐに間違いだと気がついてくれたのに。

 

「私、〇〇だよ。お母さんの娘だよ」

 

怪訝な表情で、黙って私の顔を見つめるだけだ。

 

「〇〇?」

 

自分の娘が、いま目の前にいる人物(私)と一致しない様子。

 

その時、兄が外出先から帰宅。

 

「お兄ちゃん、お帰り」

 

イソイソと出迎える母に、唖然としてしまう。

娘の顔が分からないのに、兄の顔はわかるの?

何も知らない兄は、母と少し会話を交わし、また外出。

 

これはいったいどういうことなのか。

気持ちはザワザワしているのに、私はすごく冷静だった。

オロオロすることも、母に声を荒げて訂正することもしなかった。

奇妙なこの状況がなんなのか、一体何が起こっているのか、見極めなければいけないと思っていた。

 

 

母が椅子に座りなおし、現実の私とテーブルをはさんで向かいあい、お互いの顔を見つめ合う。

その後もしばらく私が娘だと分からなかった。

 

「〇〇?」

「本当に〇〇?」

 

20分くらいして、ゆっくりといつもの母が戻ってきたようだった。

自分の頭の中がどういう状況になっていたのか、理路整然と、説明してくれた。

 

母が言うには、すぐそばに5歳くらいの小さい頃の私がいたそうだ。

他に、5年前に亡くなった私の祖母(母にとっては姑)もいたらしい。

 

自分の娘が幼い頃の姿でそばにいるのに、目の前の中年の女性(現実の私)が「私は娘」と言う。

 

「なぜ?〇〇はすぐそばにいるのに??」という感じだったらしい。

自分でも、すごく不思議な感じだったと話す。

 

「おかしいよねぇ」と冷静に話す母。

他人事のようだ。

ちなみに、途中で帰ってきた兄のことは、違和感なく現実の姿で認識できたらしい。

これって、せん妄なのだろうか?

 

高齢者は、手術をした後に「せん妄」という状態になることがあるらしい。

母のこれも、全身麻酔で手術をした影響?

それとも、ロフラゼプエチル錠をストップした離脱症状なのだろうか?

 

23時入眠。

 

2021年4月15日

朝5時半頃、母がベッドから、下で布団をひいて寝ている私に話しかける。

10分程度だろうか?

前日と同じように認知障害

伯母の名で私を呼ぶ。

自分達を、姉妹だと思っている様子。

ベットの中で、うとうと眠ったり、目を覚ましたりしながら、9時頃起床。

 

ロフラゼプエチル錠

 

ベンゾジアゼピン睡眠薬です。

かかりつけの先生より処方され、半年ほど服用していました。

母は足の痛みがひどく、気分がふさぎこみがちになっていました。

情緒不安定とのことから、抗不安剤として処方されたようです。

 

私に薬に関しての専門的な知識はありません。

このブログで書き留めている、薬や薬に対する考えは、全くの私個人の感想です。

母の様子から、薬の副作用かと心配する記述もありますが、専門的な知識を持った方からみれば見当違いなことも多々あるかと思います。

あくまでも、一個人の感想だとご了承いただければ幸いです。

 

 

実際のところ、母に薬の影響があったのか、なかったのかは分かりません。

入院する2か月くらい前から、私が電話をかける度、母がうたた寝をしていることが増えました。

昼間もしっかり起きていられる状態じゃないようでした。

夢と現実の境目が曖昧になるような言動も見られました。

うたた寝の後に時計を見て、朝と夕方を間違えてしまった、その間違いに、しばらくの間気がつかなかった、ということも聞いていました。

 

私のほうが心配になってしまい、母の飲んでいる薬をネットや本で調べました。

ベンゾジアゼピン睡眠薬は依存性が高く、長期間の服用は慎重に、という記述もあり、不安になってしまいました。

入院中もベットの中で、ほぼ一日中眠るような状態だったようです。

 

退院後にかかりつけの先生に相談したところ、ご心配なら止めましょうか、ということになり、その日からストップしました。

断薬より減薬が望ましいというネット記事も読みましたが、先生の意見では、大丈夫でしょう、ということでした。

 

自宅に帰ってきて、せん妄らしき症状が出たのが、断薬して数日後でした。

薬を止めたことが影響していたのか、たまたまのタイミングだったのかは分かりません。

 

その後、半年くらいかけて、母にゆっくりと認知症の症状が出始め、現在にいたります。