買い物に出かけようとドアに向かいながら、チラっと横目で鏡をみた。
黒Tシャツに黒のレギンスパンツに水色の薄手シャツ、特にチェックするまでもない、ふだんの恰好。
いつもならそのまま出ていくのに、なぜか鏡の前で足が止まった。
鏡の中の自分の顔を、じっと見つめてみる。
なんだろう?
なにか、物足りない、さびしげな感じ。
地味なのはいつものことだけど、それにしても、こんなぼんやりした感じだったっけ?
そして、気がついた。
そういえば、口紅をずっと塗っていない。
今までは、カラーマスクが差し色の役目をしてくれていた。
マスクを外すようになってずいぶん経つのに、口紅を塗ることをすっかり忘れていた。
誰かが「マスクはパンツのようなもの」と言っていたけれど、ちょっとわかる気がする。
マスクで顔を隠すという行為には妙な安心感があったから、「そろそろ外そうか」となった時、久しぶりに顔をさらけ出して表に出ることに戸惑ってしまった。
習慣とは、おそろしいものだ。
3ヵ月経ってようやくその違和感から解放されて、あらためて、マスクなしの自分の姿に目が留まった、ということかも。
「これは、ダメだわ」的な気持ちが、急にわき起こる。
久しぶりに、口紅をつけようという気になった。
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ポーチの中から、以前使っていた口紅を出してみる。
見た感じ変化はなさそうだったけれど、口に塗るのはやはりためらわれる。
「3年経った口紅」とググると、念のため処分したほうがいいとの記事多数。
油が酸化している可能性が高く、肌に悪いそうだ。
久しぶりに新しい口紅を買おうと、マツモトキヨシに向かった。
メイク用品は、ほぼドラッグストアですませている。
いま使っているのは、ほとんどがケイトのもの。
値段も手頃だし、落ち着いた色味が多いので50代の私でも使いやすい。
並んでいる口紅を眺めてみる。
年齢的にも、好みからしても、鮮やか過ぎるのはパス。
普段使いできる落ち着いたベージュ系がいいけれど、ブルべ(多分、夏)なので、ピンク寄りのものが欲しい。
消去法でいくと、似たような色味のものが2本残った。
◆ケイトリップモンスター03 「陽炎」
◆ケイトリップモンスター13 「3:00AMの微酔」
テスターがないので、貼ってある色見本写真をじっくり眺める。
(写真は公式ページより)
ググってみたらケイトのリップモンスターはすごい人気で、中でも1番人気は「03陽炎」らしい。
確かにいちばん無難だし、これにしようかなー
でも黄味よりなのね……私に合うかな……
やっぱり、ローズよりの13番にしておこうか……
あんまり迷うので出直そうかとも思ったけど、「よし、口紅買おう!」の勢いでやってきたので、どうしても今日買って帰りたい。
結局、どっちも欲しくて両方買ってしまった。
上の写真は、左が03「陽炎」、右が13番「微酔」
下の写真は、上が03「陽炎」、下が13番「微酔」
こうして手につけてみると、色味が全然違うのがわかる。
順番に、唇に塗ってみた。
口紅をつけると、「ちゃんとメイクをしましたよ」という感じになる。
こんな雰囲気の自分の顔を長らくみていなかったけれど、悪くないと思う。
03番は13番と比べると、やっぱり黄味よりだった。
帰ってからググったサイトに「色味があまりないので若い人向き」とあって、失敗したか?とも思ったけれど、説明書きにロゼベージュとあったし、ブルべの私でもいける気がする。
塗った感があまりないので、華やかさが欲しい人だと物足りないかも。
ふだんの買い物の時は、03番をつけようかな。
13番はほんのりローズといった感じで、こちらは自分でも似合っていると思う。
どちらか1本を選ぶなら13番だけれど、使い分ける楽しみがあるし、2色重ねて雰囲気を変えてもいいし。
口紅を塗る楽しみを、久しぶりに味わった。
こういう気持ちを忘れていなかった自分にも、少し安心した。