シン・母 遠距離介護日記+

遠方にいる認知症の母の備忘録を中心に、日常のあれやこれやを書いています。

認知症の母が行きたい「あそこの角のお店」

本日の母の記録 2023年7月29日

食欲あり。

1人の時に持ってきてもらうお弁当は残しがち。

心配したけれど、ここ数日の様子を見る限り、ちゃんと食べている。

お昼の蕎麦も、夕食のカレーも、私とほぼ同量食べていた。

1人だと、食が進まないということもあるだろう。

母は食べることに集中できずに、すぐに手が止まってしまう。

そのうちにお腹がいっぱいになってしまうようだ。

2人の時は、私につられて食べるのかもしれない。

 

認知症は、残念だけど進んでいるように思う。

直近のことを忘れてしまうのは以前からだけど、最近は、私が返答に困るような話をすることが増えてきた。

 

もうそろそろ行かなきゃいけないんじゃないかな。あそこの角のところにある、ほら、あそこの……

 

あそこに、お金を払いに行かなきゃいけないから……

 

母の言う「あそこ」は、母の頭の中に確かに存在しているようだけれど、うまく言葉にすることができない。

そこでは買い物もできるし、お金が必要だと言うので、何かのお店なのだろう。

過去に近所にあったお店や母の昔の状況など、思いつく限り考えてみるけれど、やっぱり分からない。

私にうまく伝えられないことに母が苛立ち、どんどん不穏になっていく。

 

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ここ数日は、午後3時~4時頃になると決まって「あそこの角のお店」に行きたがるようになった。

その度に、言葉にできない焦燥感と、私に理解してもらえない失望で、イライラと機嫌が悪くなる。

母から負のオーラが出まくっていて、私も巻き込まれそうになる。

出来るだけオーラをまともに受けないように、引きずり込まれないように気をつけるものの、昨日はダメだった。

グズグズ言った挙句、3日ぶりに約束していたシャワーを「お母さん、足が痛いからやめておく」と言い出したので、とうとう私も強い口調で叱ってしまった。

あからさまに肩を落とし「私、怒られました」オーラを出している。

それでも観念したのか、急に素直になって脱衣所までついてきた。

脱衣所まで入ってしまえば、こっちのものだ。

 

温かいシャワーを浴びるなり、「あー、気持ちがいい」と言う。

私が「入って良かったでしょ」と言うと、「そりゃ、そうよ」とニッコリ。

だから、どんなに嫌がっても、どうにかして脱衣所に連れて行く。

 

今日もまた「あそこの角のお店」について母が話し始めたので、テーブルにメモを貼ってみた。

 

お母さんの行っていた角のお店は、今はなくなっています。
お金の支払いはすべて済ませているので大丈夫です。
欲しい物がある時は、私が一緒に別のお店に行きます。

 

書いた直後は、読み上げながら「わかった」と渋々ながらも納得していた母。

これで落ち着くかな、と思ったのに、しばらくするとまた、同じことを言い始めた。

 

お母さん、このメモ読んでみて

読んでも、何のことかわからない

・・・・・

 

結局、振り出しに戻ってしまったようだ。

きっとしばらくは、そのお店の話を聞かされることになるだろう。

かわいそうだけれど、多分これからもその場所には連れて行ってあげられそうにない。

あそこの角のお店って、どこなんだろうね、お母さん。